ガソリンスタンドのおすすめは全部必要?売上目標と接客の本音
「これ、本当に車のため?それとも売上のため?」——そう思ったことがある方へ。売る側の店長が、正直に話します。
「オイル交換と一緒に、エンジンの洗浄もどうですか?」
「エアコンフィルター、1年たったので交換しませんか?」
ガソリンスタンドで、こんなふうに勧められたことはありませんか。車に詳しくないと、必要なのか分かりません。断って調子が悪くなっても困るし、全部お願いしていたらお金がかかる。
最初に、売る側として正直に言います。私も、売上のために商品や作業を勧めます。その中には、今すぐ必要ではないものもあります。
ただし、だからといって全部断っておけばいい、とも思っていません。3部シリーズの最初として、ガソリンスタンドがいろいろ勧める理由と、断られたときの接客まで、私自身の経験から話します。
- ガソリンスタンドには、燃料以外の売上(油外)にも目標があることが多い
- だから予防やお手入れの商品も勧める。勧めている本人が「毎回必要」とは思っていないものもある
- でも全部断ればいいわけでもない。声をかけられたことが、確認のきっかけになることもある
- 迷ったら「どの状態を見て勧めているんですか?」と聞く
ガソリン以外にも、売上目標があります
ガソリンスタンドには「油外(ゆがい)」という言葉があります。オイル、タイヤ、バッテリー、洗車など、燃料以外の商品や作業の売上のことです。
会社によって違いはありますが、この油外にも目標があります。
私の経験では、お客さんから頼まれたことだけをやっていて、油外の目標を達成するのは難しいです。
給油に来た方へ点検を案内したり、オイル交換に来た方へ追加の作業を提案したり。こちらから声をかけて、買ってもらう必要があります。そのため、交換が必要な部品だけでなく、予防やお手入れの商品も勧めます。
たとえばフラッシング。オイル交換のときに案内する、エンジン内部の洗浄です。私も勧めます。でも、定期的にオイル交換をしている車に毎回やる必要があるかと聞かれたら、そこまでは思っていません。
勧めている本人が、毎回必要だとは考えていない。そんな商品もあるということです。
→ フラッシングや添加剤のくわしい話は「車の添加剤・エンジン洗浄剤は効果ある?」にまとめています。
「やった方がいいですよ」は、どこまで必要?
店頭では、こんな言い方をします。
- 「やった方が、オイルはきれいになりますよ」
- 「さび止めにもなるので、入れておいた方がいいですよ」
お客さんからすると、「じゃあ、やらないとまずいのかな」と感じるかもしれません。でも、売る側の「やった方がいい」には幅があります。
| 「おすすめ」の中身 | 考え方 |
|---|---|
| 今の状態を見て、交換を勧めている | 理由を聞いて、前向きに検討 |
| 予防として勧めている | 今回か、次回か、自分で選べる |
| 今より良くなるから案内している | 今回やらなくてもいいことが多い |
夏には、エアコンフィルターもよく勧めます。長年交換しておらず、ひどい状態のものもあります。一方で、まだ交換しなくてもいいかなと思うものを「1年たったので」と勧めることもあります。
普段見ない場所なので、定期的に確認する意味はあります。ただ、それと「今日、交換しなければいけない」は同じではありません。

「おすすめされた」だけでは、自分の車にどのくらい必要かまでは分かりません。それを知っておくだけで、話を落ち着いて聞けますよ。
勧めている本人は、自分の車でどうしている?
私はプラドに9年乗っていますが、フラッシングはしたことがありません。
水抜き剤も、前の車に最後の年に入れた程度です。普段から入れ続けているわけではありません。
反対に、オイルフィルターはオイル交換のたびに替えています。交換時期は車の指定を確認する必要がありますが、私は自分の判断で毎回交換しています。
- オイル交換
- オイルフィルターは毎回交換
- フラッシング(9年で一度もなし)
- 水抜き剤(前の車に1回だけ)
売る側の人間でも、すべての商品や作業に同じようにお金をかけているわけではありません。勧めるものでも自分は使っていないものがあり、少し多めにお金をかけている作業もある。そんなふうに選んでいます。
→ 水抜き剤は「水抜き剤は必要?」、オイル交換の時期は「オイル交換は3,000kmごと?」でくわしく書いています。
ただ、私にも失敗があります
エアコンフィルターは、プラドに9年乗って、この前初めて交換しました。
車検は知り合いの整備工場にお願いしています。知り合いだと、必要なもの以外はあまり勧められません。エアコンフィルターも勧められることはなく、私自身も気づいていませんでした。
外したものを見たら、とんでもない状態でした。「悪臭の原因は、これだったのかな」と思いましたし、この車に子どもを乗せていたと思うと、ぞっとしました。
車の仕事をしていても、普段自分で見ない場所は見落とします。そして、勧められないと、気づかないままということもあります。
だから、「店員が勧めるものは全部いらない」とも言えません。声をかけられたことが、確認するきっかけになる場合もあります。このあたりは、第2部で商品ごとにくわしく話します。
商品を断ったら、嫌な顔をされる?
「点検してもらったのに断りにくい」「空気圧だけお願いしたら、嫌がられそう」——そう感じる方もいると思います。
正直に言うと、人やお店によります。あからさまに嫌な態度を取る人もいます。現場にいるので、「どこでも気持ちよく対応してくれますよ」とは言い切れません。
うちは、断られても笑顔で対応します。
ただ、格好をつけずに言えば、そのあと商品を売りやすくするため、という気持ちもあります。今回は買わなくても、また来てもらえれば、次に何か任せてもらえるかもしれません。
「お客さんのため」という気持ちと、「商売につなげたい」という気持ちは、両方あります。でも、笑顔で点検したから何か買ってもらわなければ困る、とも思っていません。
断る前に、ひとつ聞いてほしいこと
点検を受ける前には、料金がかかるか確認してください。そのうえで、無料の点検を受けたからといって、勧められた商品を買う必要はありません。
ただ、断る前に、ひとつ聞いてほしいことがあります。
交換時期が来ているのか。実際に傷んでいるのか。それとも、予防やお手入れとしてのおすすめなのか。これが分かれば、自分で決められます。
- エアコンフィルターなら、外した実物を見せてもらう
- バッテリーなら、点検結果と、交換を勧める理由を説明してもらう
説明を聞いてから、「今日は見送ります」「交換履歴を確認してから決めます」と伝えてもいいと思います。逆に、その場で対応した方がいい状態なら、なぜ待たない方がいいのかまで聞いてください。

全部引き受けるか、全部断るか。その二つだけで決める必要はありませんよ。
断れば、必ず節約になるわけでもない
以前、タイヤの組み替えでバランス調整を断ったお客さんが、後日「ハンドルを取られる気がする」ともう一度来店し、結局、追加の料金がかかったことがありました。
最初の料金を抑えても、あとで作業を頼めば、かえって高くつくことがあります。営業として勧めていることと、その作業が必要なことは、両立します。この話は、第3部でくわしく書きます。
おすすめを聞いたら、必要な理由まで聞いてほしい
ガソリンスタンドには売上目標があり、私も商品を勧めます。だからこそ、「おすすめですよ」の一言だけで決めず、もう少し聞いてほしいです。
- 今の車の状態から必要なのか
- 予防や追加のお手入れなのか
- 今回見送ったら、何に気をつければいいのか
- 頼む場合、工賃を含めて総額はいくらか
私自身、フラッシングはしていませんし、エアコンフィルターを9年も見落としていました。売る仕事をしていても、自分の車で全部やっているわけではありません。
勧められたら、まず理由を聞く。見られるものは、自分でも見せてもらう。そこから決めてもらえればと思います。
よくある質問
ガソリンスタンドはなぜいろいろ勧めてくる?
勧められた商品を断ったら、嫌な顔をされる?
勧められたとき、何を聞けばいい?
※ 店頭での話は、わたパパが勤めるガソリンスタンドでの経験と実感で、すべてのお店・会社に当てはまるとは限りません。部品の交換時期は、車の取扱説明書やメンテナンスノートの指定を確認してください。

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